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映画「ミュージアム」感想/解けない赤い罠

ミュージアムグリーンカーペットイベント・ジャパンプレミア試写会に参加してきたので映画の感想です。
旬くん超間近で見たのですが、口の端になにか出来物が。体調は大丈夫なのでしょうか。
ネタバレは特にありませんが、一応続きにしまっておきます。


正直に言うと、今まで自分が見たことのある大友監督の作品の中で一番好きだな、と思いました。
大友映画って、作り込まれた世界の中で俳優が息をしている印象を持っているのですが、一番その息遣いが自然に感じられました。
今までの映画が自然じゃなかったのかと言われればそんな事は全く無く、「ミュージアム」という作品の中には時代劇も近未来的要素も殆ど無いので、自分の理解や想像がしやすかったんだと思います。
感触として一番近いのはハゲタカですかね…。そういえばハゲタカの主演は大森さんですし、秘密にも大森さん出てるし、次は大森さん主演の映画が見てみたいです、監督。

そんな、「一番好き」と言える作品の主演が旬くんだなんて…幸せものですね。
Twitterでもちらほら書いたのですが、旬くんの纏った陰の気配が見たことないくらいに大きくなっていて、それはそれは「美しかった」です。
「美しかった」というのは、単に旬くんのビジュアルがイケてるとかそういうことではなく笑、沢村が追い詰められていく姿が丁寧に丁寧に、まるで隙間がどこにもないかのようにみっちりと描かれていて、狂った沢村の感情が手に取るように解るようでした。
沢村の血走った瞳や、荒い息遣いに心臓をぎゅっと掴まれて、こっちまで息が荒くなってしまいます。
明け透けな言葉を使うと、嗚咽を漏らしたり苦しんでいる旬くんを見て、自分でもびっくりするくらいに興奮しました……。
別に痛めつけられてる姿にゾクゾクした訳じゃないんだと思うんですけど、あの息が詰まって鼓動が激しくなる状態を興奮と言わずしてなんと言うのか、自分には解りません。
どんどんズレていく沢村を誰にも止められなくて、でも、じゃあ沢村はどうなってしまうのか? とどきどきしながら沢村を追っていくのがすごく快感です。後ろ暗い快感ですが、でもそうとしか言い様がないんです。
ドキドキ、ゾクゾクのあとに来る、「私この人の芝居へのアプローチの仕方大好きなんだな……!」という感情が波のように次から次へと押し寄せてくるので、もう本当にこの映画大好きです。

この映画の主人公は沢村久志ですが、その沢村の目指す先には常にカエル男*1がいます。
だから沢村はカエル男の手で狂わされていくと言っても良く、カエル男に引っ張られて引っ張られてボロボロになっていく旬くんにこれまた見たことのない色気を感じました。
プラスアクトにて「REDで新しい一面を」と書かれていたのですが、まさしくロスコとの応酬によってケンがどんどん進化していった時のあの感覚です。
そこに今回はダーティな陰を纏っているので色気として感じられるようですが、雰囲気としてはまさしくREDで感じたそれです。
……いや、まあ、手触りも見え方も全然違うんですけど、感覚としてはあれが一番近いかな、と。
狂ったカエル男に追従するように沢村が狂い、話が動いていく様もこれまた快感でした。

ラストに関しては、やっぱりいつもの大友映画らしく笑「あっそういう落とし方する……んだ……」という感じではあるのですが、だからこそ前作の「秘密」との対比になったんじゃないかと勝手に感じたので、オグトマコンビファンとしてはそれはそれで美味しかったです。
「秘密」は、「人と人とはいずれ解り合えるかもしれなくて、その可能性こそ美しい」という、ピュアでイノセントな美しさ……言ったら性善説的なものが根幹としてあると思うのですが(主演の斗真や岡田将生くんのキャラクタービジュアルの立ち方もものすごい美しい)。
ミュージアム」の終わり方、それの真反対でこの世はどうしようもなく救いがなくて、ある意味性悪説的で、白の生田斗真と黒の小栗旬という感覚がしてしまってめちゃくちゃ美味しかった……。

とにかく見ている時の感情の昂ぶりが病みつきになる映画でした。中毒性があると思います。
早く観た過ぎて、東京国際映画祭のチケットを取ったはいいものの、さっき「お客様のお席は確保できていません」メールが来たので再販売にかけようと思います……。

*1:拉致監禁された奥さんと子供