セーラー服と機関銃 -卒業- を見た

突然『セーラー服と機関銃 -卒業-』を見た。
もちろん前作に関する知識は無い。長澤まさみverも見ていない。先に見た友人が抜け殻のようになったので興味を持った。
 
 

トーリー

高校3年生の星泉は実はヤクザの組長だった。
活動している市で違法クッキーが蔓延し始めた原因を突き止めようと動く泉。泉を手助けする別の組のヤクザ・月永。2人は手を組みクッキーの出処を調査していくが、市長選の裏で暗躍するデザイン事務所所長・安井によって罠にかけられ、ピンチに陥る。
果たして泉は市に平和を取り戻すことが出来るのか。
 
 

面白かった

正直あまりに荒唐無稽すぎてファンタジーなのだけど、ウェブサイトのつくりから見るに多分やっぱり若い人向け(追憶とは逆の年齢層というか…)だったんじゃないかと思うので、あのくらいファンタジーでご都合主義で無意味なシーンがあって十分なんじゃないだろうか。

導入から、突然ヤクザの話に行くまでも少女マンガのモノローグを読んでいるようでテンポがいいように感じられたし、最初月永と出会ったときから泉は月永のことを「年上のかっこいい男性」と感じているのも解った。

というかハシカンの身体つきが幼かったり肌がぷるぷるしていたり足をばたつかせたり、みずみずしい身体が大爆発していて、その中でハシカンの体当たりであろうことが感じられる演技とかがまた爆発してて、ものすごいハシカン映画だった。ハシカン最高。でもどのシーンもいやらしくなくてハシカンの声がどんどんハスキーになっていくのもものすごいかっこよかった……。

自分が好きな演技かと聞かれたらううーんなんだけど、でもあの全力さと勢いはすごい。AX*1のあの狭さで見るフラッシュライトくらい目がちかちかして圧倒される。それが演技なんだとしたらもっと恐ろしい。そういうことを全編に渡って知らせてくる。

長谷川博己がもっとすごい。解っていたつもりだけどやっぱりすごかった。そういった少女の気持ちを8割位受け止めて、自分のやり切れなさも表現して、それこそ「月」のようにずっとこの映画に君臨してる。
ひんやりとした少女の憧れを抱いたまま永遠になってそのまま道標になるだなんて出来過ぎにも程があると思うのだけど、でもそれをやってる。息を吐くくらい普通にやってのけてる。
そもそも「月」で「永」なんて、泉の人生の永遠の月だなんてものすごいネーミングだと思う。でもすごいぴったり。とてもかっこいい。すごかった。
 
 

トーリーで好きなシーン

泉の、「女子高生・星泉」としての日常を描くシーンと「目高組四代目組長・星泉」の非日常の対比がよかった。オラつけるのにやっぱり市長候補の大人にはいいように使われてしまうとか、最終的に彼女が帰っていくのは日常の世界、というのもなんともおとぎ話的でときめく。
 
 

視覚的に好きなシーン

泉と月永が一緒にいるシーンはずっと好き。ずっと綺麗。
というか全編初夏っぽい照明で綺麗。暗がりだったのに一気に昼になるとか、ハシカンだけにスポットライトが当たるとか、そこだけ雨が降ってるとか、主人公としての輪郭を際だたせるような照明と演出がすごい効果的だった。
一番はやっぱり終盤の泉に抱きかかえられながらキスをするところ。世界に泉と月永の2人だけみたいに感じられる。
 
 
泉を取り巻く世界が一度終わってしまうというところでは、すこしセカイ系っぽいかもしれない(というかアイドル映画はみんなそういう文法なのかも、ピカンチとか)。
お話の中では、少女時代はいずれ終わってしまうものだし、今回タイトルに「卒業」と入っているのでそういうことなのだと理解した。
泉は日常の世界に帰って、女性として過ごしていくけど、ふと立ち返った時に思い出すものが機関銃の硬くてひんやりとした感触だったり、押入れに収納された神棚のお線香の香りだったりする。
セーラー服と機関銃、タイトルだけは有名だけど実際見てみてそういうことなのかと理解出来たので、余裕があったら原典も見てみたい。