4/26 中の人@東京グローブ座

4月26日2部の公演に行ってきました。
ざっくり・そして纏まりのない感想ですが、ネタバレになるかもしれないので、続きに避けておいてあります。

  • ストーリーの大幅な流れはありがちといえばありがち。うだつの上がらない映画監督(シゲ)が久々に地元に帰ってきてみたら顔見知りでもない後輩に無駄に担がれ、地元のお祭りのドキュメンタリーの撮影を依頼されるが、正直そんなのはやりたくないが引き受けてしまったし大した腕もないしどうしたもんか……と悩むというところから話が始まる。
  • 平凡に平凡なまま、やってみたら一部にウケた高校時代の自主制作映画。きっとそれを作っている時にずいぶん楽しくて気持ちいい思いをしたのだろう、坂崎くんは地元を捨てて東京に出るわけだけれども結果こてんぱんにのされてしまって地元に帰る……、なんて挫折は程度がどうあれいろんな人が経験した事のある出来事だと思う。
  • 確かに熱はあった。あったけれど、それを「若かった」と言えてしまえるような年齢になった。勢いだけで突っ走るのは少し大人げがないように思えてしまって「恥ずかしい」し、そういう若かった時の栄光とも言えない一瞬の瞬きにいつまでも縋っていられないという現実も思い知った。
  • 唐突に年齢の話をする。シゲアキさんと同い年の私は、同い年というだけで勝手なシンパシーを感じている部分が大いにあって、今回の舞台に関してもそれを大いに感じた。同い年のアイドルが小説家としてデビューをしたのもずいぶんな衝撃を受けたけれど、この舞台についても結構な衝撃だった。衝撃といえども喜んで迎え入れる方の。
  • 「こういう」話について、シゲアキさんは書くのも演じるのも出来るのか、と思った。Burnはまだ読んでいないのだけれど、ピンクとグレーならば私は確実にりばちゃん側の人間だが(ごっち側の人間なんてそういないだろう)、りばちゃんに抱いた感情と同じ気持ちを坂崎くんを通して加藤シゲアキという人間に感じてしまった。
  • まさしく加藤シゲアキ26歳にしか表現し切れない世界とストーリーだったと思う。少年期のぼんやりとした夢についての軽い挫折を描いた作品ってハチクロとか矢沢あいとか世の中にはたくさんある。今回の「中の人」について妙に肌なじみがいいのは、演出のせいか力が入りすぎないで、熱くもなく冷たくもなく程よい温度で場が進行していくからじゃないかなと考えた。
  • コンテンポラリーダンスみたいなのもすごく良かった。アイドルというよりも、表現者としてのシゲを見ることが出来た。表情や筋肉の動き一つとっても饒舌で、加藤シゲアキという人間の底の見えなさを感じた。そういった部分を垣間見る事で人を好きになるタイプの私は、加藤シゲアキに改めて惚れ直した。
  • シゲを初めて見た時に、同い年の割に少年のような表情をする人なんだなあと思った。けど、開演してすぐのシゲは大人の顔をしていて、「あれ?」となった。けど、終盤になるにつれ(~坂崎くんがふっきれるまで)笑顔が元の子供っぽいシゲになっていって、役者とはこんな所にまで感情を滲ませることが出来るのか……! と一人で震えていた。
  • 製作陣も言っている通り、妙な舞台だと思う。けど、や、もう、ほんと、シゲにしか出来ない舞台だった。これ、見れてよかった。今まで見た舞台の中で一番好きかもしれない。行けてよかった。

以下どうでもいいつぶやき

  • 一番笑ったのは、若女さんが見つかった時にエンヤが流れたところ。
  • パンフレットを見た。うまいこと演出側の意図に引っかかっている自分がいた。穿った見方とか面白いことは言えないけど、これも自分の中の人の感想なんだからしょうがない。
  • アイドルも高齢化してきた昨今、例えば嵐のワイルドアットハートとか、エイトだとへそ曲がりとかあおっぱな、NEWSだとWORLD QUESTみたいな、後悔しないでやることやり切りなさいよ、ってアラサーの男性アイドルグループに応援される空気がしっくり来る人に見てほしい。誰が見ても楽しいけど。